Toyo Medical College
甲子園の応援席で人が倒れたら?熱中症対応とAEDの分かれ道

KOSHIEN STAND × FIRST AID
応援席で人が倒れた。
熱中症対応とAEDの分かれ道は?
甲子園・高校野球の観戦中を想定し、最初の観察、119番、冷却、胸骨圧迫までを整理します。
まず係員と周囲へ助けを求め、倒れた人の反応と「普段どおりの呼吸」を確認します。反応があり熱中症が疑われるなら涼しい場所へ移して冷却。反応がなく普段どおりの呼吸がなければ、119番・AED・胸骨圧迫を直ちに始めます。
夏の高校野球。観客席で人が倒れても、「熱中症だ」と決めつけて水を飲ませる前に、反応と呼吸を確認します。
AEDは熱中症そのものを治す機器ではありません。心停止が疑われる、つまり反応がなく普段どおりの呼吸がないときに手配します。
目次
2026年の甲子園でも暑さ・健康対策が行われています
第108回全国高等学校野球選手権大会は、2026年8月5日から22日まで開催中です。日本高等学校野球連盟は、2部制の時間帯拡大などの暑さ対策を公表しています。
球場では医師・看護師がいる救護室を設け、アルプス席を含む複数地点で暑さ指数(WBGT)などを測定しています。それでも体調は一人ひとり違います。早く離席して助けを求めることが大切です。
球場だからこその第一歩近くの係員へ知らせます。救護室への導線、AEDの位置、救急隊の誘導は、会場スタッフとの連携が重要です。
反応と呼吸で、対応は2つに分かれる
肩をやさしくたたいて呼びかけます。反応がなければ胸と腹の動きを見て、普段どおりの呼吸があるかを確認します。迷うほど呼吸がおかしい場合も「普段どおりではない」と考えます。
熱中症を疑う対応
涼しい場所へ移し、衣服を緩め、皮膚を濡らして風を当てます。意識が明瞭で、自分で安全に飲める場合に限り水分・塩分を補給します。
意識がおかしい、自力で飲めない、吐く、症状が改善しない・悪化する場合は119番通報を優先します。
心停止を疑う対応
一人に119番通報、別の人にAEDを依頼し、胸骨圧迫を始めます。AEDが届いたら電源を入れて音声案内に従い、胸骨圧迫を続けます。
「熱中症か心臓の病気か」を観客が確定する必要はありません。反応と呼吸から、今すぐ必要な行動を選ぶことが救命につながります。
混雑した応援席では、4人で役割を分ける
声に出して具体的に依頼
- 観察する人
反応・呼吸を確認し、必要な手当を始める - 119番する人
場所と状態を伝え、通信指令員の質問に答える - AEDを運ぶ人
係員へ声をかけ、AEDを探して戻る - 誘導する人
通路を確保し、係員や救急隊を傷病者へ案内する
「誰か呼んで」ではなく、「赤い帽子の方は係員を」のように相手を示して依頼します。胸骨圧迫は、できる人が交代しながら続けます。
- 倒れた時刻と、その前の様子を覚えておく
- 人垣を作らず、風と救護の通路を確保する
- 意識がおかしい人へ無理に飲ませない
- 救急車を呼んだ後も冷却や胸骨圧迫を続ける
球場から119番するとき、何を伝える?
最初に「救急です」と伝え、球場名、エリア、席種、ブロック、段、座席番号、近い入口や通路を説明します。チケット画面や座席表示も確認します。
伝える例「阪神甲子園球場の一塁側アルプス席、○ブロック○段付近です。成人男性が倒れ、呼びかけに反応がなく、普段どおりの呼吸がありません。AEDを依頼して胸骨圧迫を始めています」
スマートフォンをスピーカーにすると、手当を続けながら指示を聞けます。係員には倒れた状況と実施した手当を共有します。
救急救命士の学びは「状況を整理する力」
救急救命士は傷病者の反応、呼吸、皮膚の状態、発症状況などを観察し、緊急度を判断しながら隊員同士で役割を分担します。
東洋医療専門学校では、医学や救急救命処置に加え、シミュレーション実習で観察・報告・チーム連携を学びます。「いま一番先に必要な行動」を組み立てる力も専門性です。
よくある質問
Q. 熱中症で倒れた人にもAEDを付けますか?
熱中症という理由だけでは使いません。呼びかけに反応がなく、普段どおりの呼吸がない場合は心停止を疑い、原因にかかわらずAEDを手配して胸骨圧迫を始めます。
Q. 意識がない人に経口補水液を飲ませてもよいですか?
飲ませてはいけません。水分が気道へ入る危険があります。119番通報と身体冷却を優先し、呼吸がなくなった場合は胸骨圧迫とAEDへ移ります。
Q. 救護室があるなら119番は係員に任せるべきですか?
まず係員へ知らせることは重要です。ただし、反応がない、呼吸がおかしいなど緊急性が高いときは、周囲へ具体的に119番とAEDを依頼し、手当を遅らせないでください。
まとめ|反応と呼吸が、最初の分かれ道
応援席で人が倒れたら、係員と周囲へ助けを求め、反応と普段どおりの呼吸を確認します。反応がある熱中症疑いでは涼しい場所への移動と冷却。意識異常、自力で飲めない、改善しない場合は119番です。
反応がなく普段どおりの呼吸がなければ、119番・AED・胸骨圧迫を同時に進めます。病名を当てるより、必要な行動を止めないことが大切です。
判断し、動き、チームで命をつなぐ力を学ぶ授業・シミュレーション実習・資格取得について詳しく紹介しています。
参考資料
- 日本高等学校野球連盟「第108回全国高等学校野球選手権大会」
- 日本高等学校野球連盟「全国高校野球選手権大会の主な暑さ・健康対策」(2026年7月24日更新)
- 環境省「熱中症を疑ったときには何をするべきか」
- 日本赤十字社「周囲の状況の観察・傷病者の観察」
- 総務省消防庁「一般市民向け応急手当WEB講習」
- 東洋医療専門学校「救急救命士学科」
※大会情報と暑さ対策は2026年8月10日に確認しました。公開時に最新情報を再確認してください。
この記事を書いたのは・・・?
この記事を書いたのは・・・?
田中 一平 先生
救急救命士学科 学科長|救急救命士(国家資格)
◎ 経歴:救急救命士としての専門知識を生かし、東洋医療専門学校で救急救命士・消防官を目指す学生を指導。現在は救急救命士学科長として学科運営に携わりながら、国家試験・消防採用試験対策、傷病者の観察・判断、シミュレーション教育などを担当している。また、生成AIやICTを活用した教材開発・教育DXにも取り組み、学外では高校生や地域住民を対象とした救命講習・防災教育も行っている。
◎ 担当科目:救急医学概論・外傷・救急救命処置・シミュレーション実習・国家試験対策・消防採用試験対策 など
◎ その他:JPTECインストラクター/教育DX・生成AI活用を推進🤖/地域の救命・防災活動にも参加しています🚑






