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鍼灸師ってどんな仕事?他の資格との違いを解説
2025.07.17
古くから存在する「鍼灸師」は、今も昔も多くの人の体を支えています。
今回はこの「鍼灸師」を取り上げ、その仕事の内容や考え方、他の似た資格との違いについて解説していきます。
鍼灸師の仕事は、「体調不良」の改善や予防すること
鍼灸師は医療系国家資格の一つで、東洋医学をベースに鍼やお灸を使って、体の不調の改善や予防を行うことができます。また独立開業も認められた資格です。
東洋医学は西洋医学と考え方が異なり、身体を部位ごとではなく繋がった一つの生命体として全体を捉えます。特に「気」と呼ばれる生命エネルギーや血液、水分の流れが不足したり滞ることで、病気や不調を引き起こすと考えられています。この流れの道に存在する「ツボ」を鍼やお灸で刺激することで、気や血液の流れを促しバランスを整え、不調の原因を取り除いていきます。特に神経痛や腰痛、慢性的な痛みに対する施術を得意としていています。
体のバランスは一人ひとり違うため個人の体質や状態を知ることが重要で、また体だけでなく、心・生活習慣・環境なども大きく関わるため、全てを総合的に判断し施術を進めることを大切にしています。
また「未病(みびょう)」という考え方があり、病気になる手前の状態(未病)で早めにケアを行い、病気の予防をすることをとても重視しています。
ちなみに鍼灸の歴史は非常に古く、その誕生は今から2000年ほど前に遡ることができるといわれています。また日本には、飛鳥時代(6世紀頃)に伝わり、現存している日本最古の医学全書には、すでに鍼灸師の姿が記されています。薬や検査などが無かった昔から多くの人の健康を支えてきた仕事だといえるでしょう。
鍼灸師と他の仕事の違い
鍼灸師と似た領域に属する仕事として、「あん摩マッサージ指圧師」「柔道整復師」「看護師」があります。ここでは、これらの仕事と鍼灸師の仕事の違いについて見ていきましょう。
あん摩マッサージ指圧師との違い
鍼灸師もあん摩マッサージ指圧師も、東洋医学を基礎としている医療資格であるという共通点があります。また両方とも長い歴史をもつこと、「病気を予防する」という観点からアプローチを行えるなどの共通点もあります。
ただ、鍼灸師は鍼や灸を使ってツボに刺激を与えるのに対して、あん摩マッサージ指圧師は皮膚や筋肉を押したり撫でたりしてマッサージを行うという違いがあります。鍼灸師はマッサージを行うことは認められていませんし、あん摩マッサージ指圧師の方は鍼や灸を使うことができません。そのため、両方の資格を取得して、活躍している人も多くいます。
また「あん摩マッサージ指圧師」は「手の感覚」や「触診」が中心で、視覚に大きく依存しないため、触覚が非常に優れている方が多い視覚障害者が生計を立てる仕事としての歴史もあります。
柔道整復師との違い
柔道整復師は骨や関節、筋肉のケガや急性の痛みに対して、整復・固定・リハビリなどの処置を行います。解剖学や生理学などの西洋医学の考え方が中心なため、鍼灸師とは人体に対するアプローチが大きく異なるといえるでしょう。鍼灸師は「内側から整える」慢性不調に強く、柔道整復師は「外傷を整える」ケガや骨や筋肉の処置に強いイメージです。例えば、同じ腰痛でも、ぎっくり腰などの急性の腰痛に対しては柔道整復師の治療が効果的ですが、慢性的で体質から起こる腰痛に対しては鍼灸師の治療が効果的となります。
鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師がそうであるように、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを持って活躍する人も多くいます。
看護師との違い
医療系のなかでももっともよく知られている資格のうちのひとつである「看護師」ですが、鍼灸師と看護師は本質的にその仕事の内容が異なります。
看護師は医師の下で医師の診察をサポートし、患者のケアと安全を担う専門職です。基本的に医師の指示を必要とするため独立開業などは認められていません。それに対し鍼灸師は自身の判断で診断や治療方法の決定ができるため、独立開業が認められています。
ここで紹介したいずれの資格も、以下のような共通点があります。
・人の健康に携わる医療系の国家資格
・養成機関での専門的な学習が必要になる
・国家資格試験に合格しなければ資格取得とはならない
共通点は多いものの、違う部分も多くあるうえ、しっかりした学習期間が必要になるため、「自分はどの資格をとりたいか」「どの路線に進みたいか」をしっかり考える必要があるでしょう。
まとめ
鍼灸師は長い歴史をもつ医療系国家資格であり、東洋医学をベースに鍼や灸を使って人体にアプローチしていく治療方法は、他の医療系国家資格とは大きく異なります。ただ、生活習慣や心のバランスを壊しやすい現代において、需要の高い仕事だと考えられます。鍼灸師になるためには、専門の養成機関を出る必要がありますが、独立開業もでき定年がないため、高校卒業してすぐに入学する人だけでなく、社会人を経験してから入学する方も多くいます。
鍼灸師はどれだけテストで良い点数を修めても、鍼やお灸の扱い方など技術力が高くなければ評価されません。そこで、学校選びの際には、国家資格試験の合格率だけでなく、実習に力を入れている学校選びが重要です。
東洋医療専門学校の鍼灸師学科は、国家資格試験合格率95.4パーセント、就職率100パーセントを誇っています。また、実際に現場で活躍している数多くの講師による実習があります。「3年後、鍼灸師として活躍したい!」という人は、ぜひ東洋医療専門学校の見学に来てください。
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