医療の豆知識
Toyo Medical College
乗り物酔いに効くツボ ~快適な旅のために~
乗り物に乗ると気分が悪くなる、頭が重くなる、さらには吐き気を催す…こうした「乗り物酔い」に悩む人は少なくありません。
株式会社プレスビーが行った「乗り物酔い実態調査」(2021年4月8日)によると、20代〜50代の成人男女の4人に1人が乗り物酔いをしているとのことでした。
旅行や通勤・通学など、日常的に乗り物を利用する際にこの症状が出ると、楽しみが半減してしまったり、仕事や学業にも影響を及ぼしますよね。
実は、こうした乗り物酔いには、簡単に実践できる「ツボ押し」が効果的です。
今回は、乗り物酔いに効くと言われるツボの紹介と、効果的な押し方、そして乗り物酔いそのものを軽減するポイントについて解説していきます。
乗り物酔いとは?
乗り物酔いは、医学的には「動揺病」と呼ばれています。
車や電車、船、飛行機などに乗った際、体が動いていないにもかかわらず、視覚や内耳(耳の中にある平衡感覚を司る部分)が動きを感知し、その情報のズレによって自律神経が乱れることが主な原因とされています。
症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・吐き気
・頭痛
・冷や汗
・倦怠感
これらの症状を緩和するためには、自律神経を整えることが重要です。
そのために「ツボ押し」はとても有効な手段と言えるのです。
乗り物酔いに効くツボの紹介
1. 内関(ないかん)
最も有名なツボが「内関」です。
手首の前側にあり、乗り物酔いだけでなく吐き気や胃の不調を和らげる効果があると言われています。
内関の場所
・手のひらを上に向け、手首の前側に注目。
・手首の中央から指3本分ほど肘に向かった位置にある。
・腱(すじ)の間にある少しくぼんだ部分が内関です。
押し方
1. 反対側の親指を使って、軽く押しながら小さな円を描くようにマッサージします。
2. 片手につき1~2分程度を目安に行います。
内関を刺激することで、緊張した神経が和らぎ、吐き気や不快感が軽減されます。
乗り物に乗る前にあらかじめ刺激しておくのもおすすめです。
2. 足三里(あしさんり)
「足三里」は足のツボですが、胃腸の調子を整え、全身のエネルギーを活性化するツボとして知られています。
乗り物酔いの際、消化器系をサポートする役割があります。
足三里の場所
・膝のお皿の外側、膝下のくぼみから指4本分下に下がった位置。
・骨の際にあります。
押し方
1. 親指でグッと押し込むように力を入れます。
2. 強めに押して、10秒押して5秒休むを数回繰り返します。
このツボは乗り物酔いだけでなく、日常的な体調管理にも効果的です。
3. 合谷(ごうこく)
「合谷」は手にあるツボで、自律神経のバランスを整える効果があります。
頭痛や吐き気、ストレスを軽減したいときに適しています。
合谷の場所
・手の甲にある人差し指の骨の真ん中あたりにあります。
・手の甲を見ながら、くぼんだ部分を探してみてください。
押し方
1. 反対の親指と人差し指で挟むようにして、少し強めに押します。
2. 左右交互に1~2分ずつ行いましょう。
合谷は「万能のツボ」とも言われ、様々な症状に効果が期待できます。
合谷は簡単に押せるため、乗り物の中で気軽に実践できますよ。
ツボ押しを効果的に行うためのポイント
ツボ押しは、ただ押すだけではなく、リラックスした状態で行うことが大切です。
以下のポイントを押さえて、効果を高めましょう。
1. 深呼吸をしながら行う
ツボ押しと合わせて、ゆっくりとした深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、効果がさらに高まります。
2. 乗り物酔いが出る前に試す
ツボ押しは、症状が出てからでも効果がありますが、できれば乗り物に乗る前に予防的に行うと良いです。
3. 指圧の強さを調整する
強すぎる刺激は逆効果になることも。心地よいと感じる程度の力加減を意識してください。
ツボ押し以外の乗り物酔い対策
ツボ押しと合わせて、以下の対策も取り入れるとさらに効果的です。
✓視覚を安定させる:遠くの一点を見つめる。
✓体をリラックスさせる:座席の背もたれに深く腰掛ける。
✓食事のタイミングに注意:満腹や空腹の状態で乗り物に乗らない。
✓換気をする:新鮮な空気を吸い、気分をリフレッシュする。
✓乗り物酔い防止グッズを使う:ツボ押しマッサージグッズや、乗り物酔い防止のリストバンドも活用してみてください。
おわりに
乗り物酔いは、一度始まると気分が悪くなり、楽しい時間を台無しにしてしまいます。
しかし、今回ご紹介したツボ押しは、どこでも簡単に実践できる方法です。
手軽にできる「内関」「足三里」「合谷」のツボ押しを取り入れて、旅を快適に過ごしてください。
そして、ツボについて興味を持たれた方は、ぜひ鍼灸師というお仕事を知ってくださいね!