救急救命士の仕事内容って?
いち早く救急の現場に駆けつけ人の命を救う仕事、それが「救急救命士」です。
今回は国家資格であるこの「救急救命士」について取り上げ、「救急救命士とはどのような仕事か」や「救急救命士の活躍の場」、「救急救命士に求められる資質」について解説していきます。
人の命を救う「救急救命士」という仕事
救急救命士は、傷病者等を医療機関へ搬送するまでの間に迅速かつ的確な判断を下し、必要な救命措置を施すことが求められています。
この「救急救命士」は、国家資格試験に合格しなければなることができません。また詳しくは下記で紹介しますが、救急救命士は消防機関などの公的機関で活躍することが多いため、その場合は地方公務員の採用試験も突破しなければなりません。
救急救命士になるにはいくつかのルートがありますが、一般的には、高校を卒業した後に救急救命士の養成機関に入り、国家試験を突破する方法が選ばれています。また一方で、消防官で採用されたのちに、救急隊員として5年以上もしくは2000時間以上の現場経験を経てから養成所に入り、救急救命士を目指す方法もあります。
救急救命士の広がる活躍の場
現在の救急救命士に繋がる取り組みは、1933年から始まっていました。1933年に神奈川県の消防署に救急車が配置されたのが、日本における救急業務の始まりだといわれています。ただし現在のような法制度になるまでには長い年月がかかり、消防法の一部が改正され救急救命士法が制定されたのはそれから28年も経った1991年になってからです。
かつて救急救命士の活躍できる場所は「救急の現場から、病院に着くまで」と限定されていました。しかし2021年の法改正によって、「医療機関のなかでの対応」も可能になり、現在では救急救命士が活躍できる場所は、以前よりもずっと広がっています。
今後も、人の命を守るために存在する救急救命士という仕事のニーズは、決して絶えることはありません。
参考:救急救命士が医療機関で業務する必要性と課題解決のための提言|厚生労働省
そんな救急救命士の就職先はさまざまあります。
消防機関
警察・自衛隊・海上保安庁
病院
民間企業
一つずつ解説していきます。
消防機関
救急救命士の就職先としてもっとも多いのは、やはり「消防本部」です。
上でも触れましたが、2021年の法改正がされるまで、救急救命士の活躍の場所として「病院」は挙げられませんでした。そのため多くの救急救命士は消防署に消防官として勤務し、救命活動に当たっていました。
ちなみに救急救命士の仕事というと「人の命を助けること」が真っ先に取り上げられますが、実際にはこれ以外の仕事も行っています。実際の現場で迅速かつ的確に救命活動を行うための「訓練」も救急救命士の仕事のうちのひとつですし、人の命を救うための機器の点検や手入れをしたり、報告書を作ったりすることも仕事です。
自衛隊・海上保安庁・警察
普段、地上で生活している私たちはなかなか気づきにくいですが、事件や事故が起きる場所は「地上」だけにはとどまらず、海の上でも起こっています。そのため、このような海上の事件や事故に対応することを仕事とする救急救命士もいるのです。なお海上保安庁に所属している救急救命士の場合、沈没した船などから人を救う作業も行わなければならないことも多いため、潜水士などの資格を有している人も多く見られます。
また、警察にも救急救命士が少数ながら配属されています。事件や事故が起きたときに真っ先に現場に駆けつけるのは警察であることが多いため、救急救命士の必要性が考えられています。
ただし警察や自衛隊、海上保安庁に勤めることができる救急救命士はごく少数です。そのためこれらの職場を目指すのであれば、複数の資格取得も視野に入れて就職活動をしていく必要があります。
病院
先に述べたように、かつて救急救命士が活躍できる場所は「現場から医療機関(病院など)」までと決められていましたが、現在ではその活躍の場所が広がっています。
大学病院などでも救急救命士を採用しているところが見られますし、彼らに対する研修制度も徐々に整備されて行っています。
2021年に新しく布かれた法律であるため、現在はまだまだ「医療機関に所属して、働いている救急救命士への研修体制」は十分ではありません。ただ今後は医師や看護師などと連携して活躍していく救急救命士も多く出てくるものだと言われています。
民間企業
それほど大きく取り上げられることはありませんが、救急救命士のなかには民間企業に所属する人もいます。
現在の日本は超高齢化社会であり、介護タクシーなどのニーズも増えています。「介護」は救急救命士の仕事の範疇外ではありますが、緊急時に対応できる力を持った救急救命士は非常に頼りになる存在です。
なお、一部の地方では民間の企業が救急救命のサービスを提供しているケースも見られます。民間の企業に所属する救急救命士であっても、医師の指示を受ければ公的機関の救急救命士と同じように救命活動が可能です。
救急救命士に求められる資質
最後に、救急救命士に求められる資質について解説していきます。
確かな知識とスキル
救急救命士は、「人の命そのもの」に関わる仕事です。小さな手順を1つ間違えただけでも救命率が下がるのが救命活動ですし、間違った救命活動を施した場合は逆に要救助者を危険にさらしてしまう可能性もあります。
そのため、救急救命士には確かな知識とスキルが求められます。救急救命士になるためには国家試験に合格する必要がありますが、その後も、日々変化する医療に対し生涯に渡って学び続ける向学心が求められます。
人命救助への情熱
救急救命士の仕事は、交代制ではあるものの24時間体制です。食事の時間や休憩の時間であっても、要請があればすぐに現場に駆けつけなければなりません。
また、凄惨な事故現場などに居合わせることも多い仕事です。このような状況にあっても、「人を助けたい」という情熱を持ち続けられる人が救急救命士に向いています。
冷静さ
「なんとしてでも人を助けるのだ」という情熱は、救急救命士が持っていなければならないものです。しかしそれと同時に、目の前の状況を冷静に把握し、取るべき措置を行う冷静さも備えておかなければなりません。
どのような現場であっても、プロとして落ち着いて状況を見極めるだけのメンタルの強さも必要です。
迅速な行動
大きなけがや病気に見舞われたとき、人の命が助かる確率は時間とともに徐々に落ちていくのが一般的です。そのため、救命活動は迅速に行わなければなりません。
もちろん、救急救命士が駆けつけるまでに周囲の人が救命活動を行うことも重要ですが、現場に駆けつけた後に救急救命士がどれだけ迅速に対応できるかも「命を救えるか・救えないか」を分けるポイントです。
また、生存率が上がれば社会復帰率も上がるため、救急救命士には、迅速かつ的確な行動が求められます。
参考:心肺機能停止傷病者の救命率等の状況(ポイント)|総務省消防庁
まとめ
救急救命士の業務内容や求められるスキルについてご紹介しました。今回ご紹介したような「救急救命士として求められる要素」を、学ぶ前から「すべて持っている」と断言できる人はほとんどいないのではないでしょうか。しかし、養成機関でしっかり学び、資格をとり、プロとして現場に立ち続けるなかでこれらは身についていくものでもあります。もっとも大切な「人の命を守りたい」という情熱があるのであれば、救急救命士への道は広く開かれていますよ。
大阪の東洋医療専門学校の救急救命士学科では、元消防職員の指導により現場直結の救急救命士を養成しています。また、国家試験対策だけではなく、公務員試験対策もサポートしています。実践的な技術を身に着けて現場で即戦力として活躍したい!という方は、東洋医療専門学校への入学をご検討ください。